漆の文化
漆は日本人のアイデンティティに根ざしたものだと考えています。
一般に広く使用されるようになったのは
ここ200年ぐらいのことですが、
9000年前の縄文時代前期の遺跡から漆器が出土しています。
日本人の感覚やその風土が、
漆器をはぐくみ漆の文化を支えてきました。
ここでしか作れないうつわ
私たちには、100年かけて八溝塗を大子の伝統産業に
育てたいという思いがあります。
うるしの木を植えて大切に育て、採集した漆を精製し、木地をつくり、
漆を塗って販売するという一貫した製作を心がけています。
そうすることで、製品作りに思いを込め、
漆器への想いを貫くことができるのです。
うるしの木
茨城県北部の大子漆は、透明度、つや、のびの良さなど日本一の品質を誇っています。
しかし、その漆は苗を植えてから10年という長い時間をかけて、ようやく採集することができます。
大子漆は、現代のスピード感覚とはかけ離れた時の流れを経て、
自然と人との共存のなかで育っていくのです。
漆掻き
大切に育てられたうるしの木は6月から10月にかけて表皮に傷をつけて漆を採集します。
暑い中、夜明けとともに始まる過酷な作業で、漆掻き職人は激減しています。
器而庵では、漆掻きシーズンは漆採集に取り組み、オフシーズンは漆器製作にたずさわるという
新しいスタイルで若手職人を育てています。
うつわを作る
器而庵のうつわは木地にろくろの鉋目を残し、
下地のテクスチャーを活かす塗りを施しています。
うつわには木の記憶と、大切に育てられた漆と、
ひとつひとつ丁寧につくられた素朴なぬくもりがつまっています。
手に取ったときのふっくらとした暖かさを感じていただきたいのです。
うつわを使う
漆器は、毎日使ってください。漆の塗膜は非常に強く、
実はお手入れもとてもシンプルなのです。
使ううちにどんどんよい艶が出ます。色も透けて鮮やかになってきます。
漆器を使いこんで育てていく楽しみは自然素材のものならではであり、
心の豊かさがはぐくまれます。
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